未来のための選択!卵子凍結のメリットとデメリットを理解する
- 妊活
近頃は身近なテーマになった「卵子凍結」ですが、まだまだその中身については、誤解している人も多いようです。正しい知識を持つことで、どんなメリットやデメリットがあるのか知っておきましょう。
卵子凍結とは
「卵子凍結」についてです。これは、ある時期の健康な卵子を冷凍保存し、将来的に子どもを望むタイミングで使用するための方法です。年齢とともに卵子の質が下がることから、若い時期の卵子を保存しておくことで、高齢になったときでも妊娠の可能性を保つことができます。
海外のセレブレティが卵子凍結で出産したことをカミングアウトしたり、日本でも未婚の芸能人が卵子凍結していることをSNSで発信したりと、ニュースでも卵子凍結の話題をよく見かけるようになりました。エマ・ロバーツやリタ・オラといった若手女優たちは、20代のうちに卵子凍結を行っており、将来的に自分たちの子どもを生むための保険として考えているようです。
ただし、卵子凍結にはいくつかのリスクがあることも覚えておきましょう。まず、卵子を得るための治療が必要であり、その治療には排卵誘発剤を使ったり、卵巣の刺激をしたりすることがあります。これによって、多卵胞症候群(OHSS)のリスクが生じることがあります。また、卵子を凍結する際に細胞の水分が凍ってしまうことがあるため、凍結・解凍による細胞崩壊や、染色体異常の発生を引き起こす可能性があります。
さらに、卵子が凍結保存されている場合、その卵子を使って妊娠しようとする際、受精率が低下することがあるため、卵子を凍結しておくだけで自動的に妊娠できるわけではありません。そのため、将来的に卵子凍結を検討する場合は、まずは医師と相談し、しっかりとリスクを理解したうえで判断することが重要です。
エマ・ロバーツやリタ・オラのような若手女優たちが卵子凍結を選んだ理由としては、将来的にありえる出産の可能性を保証したかったことが挙げられます。現代社会では、女性が社会進出し、子育てと仕事の両立をはかることが求められています。結婚や出産をせずに社会活動を続ける女性も増えています。そのような女性が卵子凍結を選ぶことは、まさに将来の選択肢を広げたということです。
AMH値とは
次に、不妊治療を学び始めたばかりの方には、まだ馴染みがない言葉かも知れませんが「AMH値」について説明をします。
AMH(アンチミューラリアホルモン)は卵巣にある成長途中の卵子の数を示すホルモンで、AMH検査はこれを測定するものです。
一部では「卵巣の年齢」を示すとされることがありますが、これは誤解で、卵子の数を示すものであり、卵子の質や妊娠可能性を直接示すものではありません。
卵子凍結とAMH値
卵子凍結を考える際、AMH値は重要な指標となります。高いAMH値は多くの卵子が存在することを示し、採卵の際に多くの卵子が得られる可能性があることを示します。
しかし、AMH値が低いからと言って必ずしも妊娠率が低いわけではありません。AMH値が0でも妊娠・出産された方の報告もあります。
年齢と卵子凍
年齢とともに卵子の質は下がりますが、卵子凍結により若い時期の卵子を保存しておくことで、この問題をある程度緩和することができます。しかし、卵子凍結が全ての問題を解決するわけではなく、年齢とともに卵子の数や質が変わることを理解した上で、適切なタイミングで卵子凍結を行うことが重要です。
卵子凍結のメリット
卵子凍結にはいくつかのメリットがあります。
- 若いうちの良好な卵子を保存できる
- 妊娠適齢期を延長できる
- がん治療の影響を受けにくい
- 不妊治療の選択肢が広がる
などがあげられます。特にがんの治療や仕事などの理由で子育てのタイミングを逸してしまう女性にとって、貴重な選択肢となっています。
卵子凍結のデメリット
一方で、卵子凍結にはいくつかのデメリットもあります。
- 高額な費用がかかる
- 冷凍保存した卵子の質が低下する可能性がある
- 必ずしも妊娠できるわけではない
- 冷凍卵子を使った妊娠率は新鮮卵子を使うより低い
などの点にも注意が必要です。特に経済的な負担が大きいのが難点であると言えます。
東京都の卵子凍結助成制度
都内でも卵子凍結に対する助成制度がスタートしました。東京都は2023年4月から、都内に住民登録している40歳未満の女性を対象に、1回の採卵・凍結保存に要する費用を上限30万円まで助成する制度を開始しました。所得制限が設けられていますが、対象者にとっては助かる制度だと思います。
まとめ
「卵子凍結」は妊活における一つの選択肢であり、「AMH値」はその判断の一助となります。しかし、AMH値が全てを決定するわけではなく、また年齢とともに卵子の質が変化することを理解することが大切です。そして何より、自分自身の体と向き合い、適切なアドバイスを受けながら、自分にとって最良の選択をすることが大切ですね。